2018年06月05日

No.090 イSム TanaCOCORO[掌] 竜燈鬼



久しぶりの更新です。
あまりにも仕事が忙しく、帰宅してベッドに横たわると自然と翌日の朝まで気絶してしまうという難病に襲われています。


この状況を打開するために、紹介するのがまたしても仏像です。
それも私の中でも1・2を争う大好きな仏像です。


でも厳密には仏像ではなく鬼像です。間違っても仏ではありませんからね。
そう今回紹介するのはこちら!

竜燈鬼2.jpg

どうですか?この眼力!


イSムのTanaCocoro 竜燈鬼です。
小学校6年生の時に、修学旅行で奈良へ行きました。興福寺国宝館で一目見た時から、心を奪われてしまい、この像の前で15分ほど動かなかった、いや動けませんでした。友人たちは阿修羅像の前で「アシュラマンがどうだのこうだの…」「阿修羅バスターがどうだのこうだの…」と言っている中で、私はこの像に一目惚れしてしまったんです。


竜燈鬼3.jpg


当時はキン肉マン全盛期ですから、私だってアシュラマンは好きでしたし、興福寺では阿修羅像を楽しみにしていました。No.084でも紹介しましたが、私が初めて買った仏像は粗末な阿修羅像だったように、小学生男児には阿修羅像は絶大な人気がありました。ただ私が阿修羅像の置物を買ったのは、竜燈鬼の置物が売っていなかったから仕方なく阿修羅像を選んだだけの事でした。


現に私の部屋「〇〇(私の苗字)寺」には竜燈鬼はありますが、阿修羅はありません。
では、何故私はこの竜燈鬼に惹かれてしまったのか?正直、私にもよく分かりません。興福寺の国宝館には他にも、小学生男児が「カッコ良い」と思えるものはたくさんありました。「阿修羅像」「迦楼羅像」「金剛力士立像」「千手観音菩薩立像」など確かに目を引く物がたくさんあったのですが、この「竜燈鬼」と「天燈鬼」には「カッコ良さ」だけではなく、他にはない「可愛さ」「楽しさ」「ユーモア」みたいなものを感じたのかもしれません。


仏像好きな方、特に仏像女子の中には、「仏像も好きだけど、仏像に踏まれてる「邪鬼」が可愛いんですよ〜」と宣う子が私の周りにも何人かいます。確かに東大寺戒壇堂の四天王に踏んづけられている邪鬼は、ユーモアとぶさ可愛さの塊です。ぶさ可愛い表情の鬼たちが容赦なく踏んづけられている姿からは「ふぎゃ」という声が聞こえてきそうです(特に持国天と増長天に踏まれている邪鬼)。


その普段踏んづけられている邪鬼たちが、堂々と立ち上がって自己表現している姿・表情が良かったのかもしれませんが、とにかくこの特に「竜燈鬼」に惹かれてしまったんですね。


竜燈鬼.jpg


更に嬉しいことに、私の大好きな漫画家である寺沢武一氏の漫画『ゴクウ』(MIDNIGHT EYE ゴクウ)の中にも「竜燈鬼」は登場するんですね。「天空魔楼編」でこの「竜燈鬼」の形をした宇宙船?ロケット?が登場します。このロケット上で主人公ゴクウが鉄鬼人との死闘を終え、東京湾へ帰ってきます。東京湾に着陸した「竜燈鬼」ロケットに向かってゴクウはこう言います。
「東京湾にも必要だな…、『自由の女神』が!!」
カッコ良すぎる。





まず寺沢武一氏のセンスです。「竜燈鬼」をロケットとして登場させるセンスの良さ!それからこの大きな「竜燈鬼」が東京湾に立てば、アメリカの自由の女神に匹敵する存在感となることを漫画上で証明してくれた功績ですね。私にも能力があれば、3mほどの「竜燈鬼」を自作して、頭上の燈篭をセンサーライトにでもして玄関を飾りたいという野望を抱かさせていただきました。


さて「竜燈鬼」の説明です。
「龍燈鬼」という表記もありますが、正式な文化財登録名は「竜燈鬼」で、運慶の息子である康弁が作ったとされていて、当初は西金堂に安置されていました。高さが77.8cmでヒノキ材の寄木造で玉眼が特徴です。褌を着け、腕組みをして直立し、鍛え上げられた体には龍が巻き付く。頭上に乗せた燈籠を上目使いで見上げている。顎には植毛の跡があり、ゲジゲジ眉には銅板、牙に水晶、龍の鰭(ひれ)に革を用いるなど、木材以外の材料を使用している。
この「竜燈鬼」はもう一対の「天燈鬼」とともに、四天王のかませ犬状態から立ち上がり、燈籠をかかげることで仏法の光で闇を照らしていると言われますが、ただ、どちらの燈籠も当初からのものではなく、明治時代の修理の時に、勝手に付け加えられたものだそうです!


西金堂が焼失したのは、享保二年(1717年)のことだという。
とすれば、おそらくこの像は、火災時に焼失から、まぬがれ、堂内から救い出されたものの、バラバラに壊れ、その時に像内から書付が出てきた、ということだろうか。


中金堂・西金堂は享保2年(1717年)に焼失したらしく、その際の記録である『享保丁酉日次記』には、龍燈鬼像の像内に「建保三年法橋庚弁作」の書付のある紙片があったとされている。ということは、1717年の火災で、何とか堂内から救い出されたものの、バラバラに壊れてしまい、その像内から書付のある紙片が出てきたということらしい。
で、明治初期にある職人が、バラバラだったパーツを組み立てたところ2体の鬼の彫刻になったらしいのだが、何かを担いでいたらしい形なのだが、何を担いでいたのかが分からず燈篭を担がせて、今のお姿として誕生した。


『ミロのビーナス』も腕から先が無いのだが、あれも実は頭の上にリンゴを載せていたらしいという話をどこかで聞いたことがある。


最後に、興福寺の国宝館内では正面からの姿しか見られないのですが、こちらの「竜燈鬼」であれば、しっかりと後ろ姿も拝見できますよ。どうですか、この引き締まったケツ筋!日本人的な短足と褌姿がゴツゴツとした男性的なケツをさらに強調させています。

竜燈鬼4.jpg


どこの角度から見ても、カッコ良くもありユーモア感に溢れている最高の像ですね。
posted by はぶさん at 23:36| Comment(0) | 寺院グッズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月31日

No.089 カッコ良いインスト 名曲10選 2018年5月



2018年5月の最近聴いてる「インスト 名曲10選」です。
今回も自分が最近聴いてるインストを勝手に名曲10選として紹介します。


ただ、かなり私的なランキングです。
私的な備忘録みたいな感じで綴っていきます。


まずはルールです。
インストといっても私の中でのルールがあります。
私が定義するインストは


@ メイン・ヴォーカルは無し
  基本の「き」です。


A コーラスはあっても良い
  本当はコーラスも要らないのですが。


B ただしコーラスは、ハミングや「あぁ〜」のような
  意味を持たない音声ならば良い。意味のある単語を
  コーラスが歌ったらアウト。

  
  例えるなら、『Gメン75のオープニングテーマ』の
  「ああぁ〜」みたいなコーラスはOKだが、
  ルパン3世’78の「ルパン・ザ・サード」
  っていうバックコーラスはアウトって感じ。


C インストであれば曲のジャンルは問わない。
  ロック、フュージョン、アニメ・映画等のサントラ、
  ゲーム音楽、民族音楽、クラシック、
  プロレス入場曲などなんでも構わない。


D ゲーム音楽の場合は、ゲーム実施中に流れてくる
  コンピューターで作られた音ではなく、その楽曲を
  何らかの楽器で演奏し直したものでなくては
  ならない。

E CDやLPなどで、販売されいるもの。現在は廃盤だが
  かつて販売されていたものであれはOK。
  DVDやYouTubeから抜き出すしか入手方法が無いものはアウト。

F 1曲が1分以上であること。(今回から追加!)
  さすがに1分未満だと、聴いてて短い!効果音的扱いになります。


こうしたルールも考慮しながら、最近の私がおススメする10選はこちら!


10選と言いながら、すいません…。
番外編で趣味枠を作らせてください。
まず

番外編 渡辺宙明 「ああ電子戦隊デンジマン」(Instrumental)
   『「電子戦隊デンジマン」ミュージックコレクション』(1996)収録。



  前回もそうでしたが、これは完全に私の趣味です。
  私にとっての「最高の特撮戦隊」は「デンジマン」一択です。
  この曲が流れると、どうしてもじっくり聴いてしまうのです。
  たぶん毎回10選を紹介しても、必ずランキングには入ってきて
  しまうので、予め番外編として扱います。すいません…。





では、気を取り直して
10位 King Crimson 「Red」
  『Red』(1974)収録  




  前回2位の「Red」が今回は10位。ただ決して私の中で
  評価が下がったわけではありません。相変わらず
  良い曲です。ただ高校生くらいからずっと第一線で
  聴いてきた曲なので、新参者に上位を譲っただけです。
  私の中での生涯ランキングを作れば必ず上位にくる
  名曲です。




9位 冬木透 「さらばやさしき日々よ (Instrumental)」
  『「太陽の牙ダグラム」総音楽集』(2015)収録 



  こちらはNo.085で紹介した楽曲です。演歌調の曲ですが
  これがまた最高にカッコ良いです。ダグラムファンで
  なくとも必ず心に染み入る一曲だと思います。
  ただ正直口ずさんでしまったり、口笛を吹いたりするのは
  TVアニメの予告の際に流れていた「あの曲」なんですけどね。
  ロボットアニメのオープニングテーマとしては、非常に
  哀愁漂う名曲です。




8位 HELDON 「Stand By」
  『Stand By』(1979)収録



  こちらはNo.067で紹介した楽曲です。この曲も以前から
  持ってはいましたが、最近になって自分の中で再評価
  されてきた曲です。以前はダラダラと長い感じがして
  あまり好きではなかったのですが、近頃はインストの、
  それも大曲を聴くのが当たり前という状況なので、
  心地よいギターインストとして聴けてしまいます。
  リシャール=ピナスのギターばかりが注目されますが、
  ドラムも変則で、ちゃんと自己主張してます。
  今の私には心地よい「ギターインスト」として聴けて
  しまいますが、あくまで雰囲気は「プログレ」です。
  Jeff BeckやJoe Satrianiをイメージして手に
  取らないでくださいね。




7位 KIng Crimson 「Sailor's Tale (abridged)」
  『The Essential King Crimson - Frame By Frame』
  (1991)収録  



  ジャズロック・クリムゾンの代表曲です。時期的には
  一番プログレから離れている印象があります。
  今回紹介するのは、ちょっとしたコレクターズアイテムで、
  『The Essential King Crimson - Frame By Frame』という
  4枚組のBOXセットの中の1曲です。
  



  通常の「Sailor's Tale」は1971年発表の4作目『Islands』に
  収録されていますが、今回の「Sailor's Tale (abridged)」は
  短縮バージョンで、7:26に短縮されています。
  キレイなメロディからゆっくりと始まる曲調かと思いきや、
  突然始まるメル=コリンズのフリーで攻撃的なサックスソロは
  圧巻です。一旦落ち着いたかと思えば、今度はフリップ御大の
  メル=コリンズに負けない攻撃的でフリーなギターソロ。
  展開の変化が激しいが、荒々しいだけの曲でもなく、キレイに
  静寂に落ち着いていく聴きごたえのある曲です。短縮版では
  ありますが、必要な部分がしっかり凝縮されています。





6位 Soft Machine 「Fanfare〜37 1/2」
  『Six』(1973)収録 



  こちらはNo.081で紹介した1曲です(厳密には1曲ではないですが)。
  こちらはヒュー=ホッパーのベースが気持ち良いです。強く、
  しつこく、頭に残るフレーズが最初から最後まで自己主張
  しています。このヒュー=ホッパーのフレーズの上をドラムや
  シンセが畳み掛けていく。エルトン=ディーンが脱退して
  フリージャズ的要素は大きく後退したが、この『Six』までは
  「ほわ〜ん」としたカンタベリー色も残っていてやはり名盤
  だと改めて感じさせてくれる。
  そのオープニングを飾る曲。ヒュー=ホッパーのベースの
  存在感がとてつもなく気持ちの良い1曲です。





5位 Joe Satriani 「Flying in a Blue Dream」
  『Electric Joe Satriani』(2004)収録



  インストを聴きたい!それもギターインストを!と
  なるとジョー・サトリアーニやジェフ・ベックに
  行きついてしまう。このアルバムはベストアルバム
  で、ギターインストばかりなのだが2枚組をすんなり
  聴けてしまう。その中でも、特徴的なリフの上を
  ジョー・サトリアーニのキレイなギターメロディが
  被さっていく、この曲がとても大好き。
  彼の代表曲と言えば、「Surfing With The Ailien」や
  「Summer Song」を挙げる人も多いが、私はこの曲の方が
  好きですね。





4位 若草 恵 「THE HANGMAN THEME」
  『ザ・ハングマン 燃える音楽簿 』(1998)収録



  こちらも初登場。確かにカッコ良い曲です。
  ただこの曲に関しては、手に入れるのに苦労した感も
  強くてこの順位です。というのも、このCDはとっくに
  廃盤で中古でしか手に入りません。おまけに見つけたと
  してもかなりのプレミア価格なんです。私は19800円で
  購入しました…。

  皆さんは、ハングマンはご存知ですか?
  1980年10月から81年11月まで放映されたドラマです。
  簡単に説明すれば、昭和の「必殺シリーズ」です。
  法や警察が処理できない悪人たちを、ハングマン達が
  「闇から表へ葬っていく」というドラマでした。
  「闇から闇へ」ではないんです。悪人たちを暗殺する
  のではなくて、悪事を表に出すことで社会的に抹殺する
  という内容でした。

  とはいえ、初代リーダーのブラック(林隆三)は爆殺されるし
  その爆発に巻き込まれてバイク(加瀬慎一)も爆死。
  初代ヒロインのベニー(あべ静江、当時は可愛かった)も
  背中にナイフを突き刺され、瀕死の状態で車を運転し
  悪人の車に体当たりして即死…。
  というなかなか衝撃的な展開のドラマで、毎週欠かさずに
  見ていました。

  そんなドラマのメインテーマでしたから、耳に残っていた
  んですね。トランペットとサックスが交互に繰り広げる
  メロディアスな展開は聴きごたえ十分な楽曲です。





3位 井上堯之バンド 「太陽にほえろ!メインテーマ」
  『太陽にほえろ!全曲集』(1990)収録



  初登場ではありますが、昔から持っている曲です。
  今月2日に井上堯之さんが亡くなったというニュースを
  聞いてから、この曲を聴きまくっています。
  母が、「太陽にほえろ!」が大好きで、金曜日の夜は
  一緒にテレビを見るのが習慣化されていました。
  私が、「太陽にほえろ!」を見始めた頃は、ボンと
  スコッチが活躍している頃でしたね。
  この頃までのメインテーマが一番好きで、カッコ良いと思います。
  メインテーマ1979(スニーカー、山下真司が参加した頃)から、
  曲調が変わって、ちょっと違和感が…。
  私にとって一番初めに買ってもらったミュージックテープでも
  あり、思い出に残る楽曲です。



  



2位 Dokken 「Mr.Scary」
  『Back for the Attack』(1987)収録



  前回4位だった、「Mr.Scary」がジャンプアップです。
  今月は仕事上、忙しく・辛く・重たいものが多くて
  ストレスやイライラが積もりに積もったひと月でした。
  少しでもこうした鬱憤を発散させるために、何度も
  聴きまくった結果ですね。
  前回2位のKing Crimsonの「Red」よりも破壊的・攻撃的
  なのが効きましたね。
  





1位 大野雄二 「大追跡のテーマ」
  『大追跡 MUSIC FILE』(1992)収録。




  前回と同じく、今回も堂々の1位獲得!
  何故でしょう、とにかくこの疾走感が大好物なのです。
  軽快な疾走感がゆえに、何回聴いても飽きないんですね。
  一日一回は必ず聴くようにしています。


以上が、私的なインストランキングでした。
いかがでしたか?

こちらのランキングを見て、
「おいおい、この曲が入ってないぞ」とか
「こんな曲あるけど、どう?」なんてのが
あるようなら、是非教えていただけたらと
思います。


またランキングの入れ替わりが、発生する
ようでしたら、その都度新ランキングを
発表していく予定です。


もし気になるようでしたら、見てやってください。
posted by はぶさん at 00:28| Comment(0) | 10 選 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月27日

No.088 ゴールデンクロー



今回は以前紹介した私の家宝、「三種の神器」の内の2つ目です。代々子供、孫にも引き継がせていくつもりの大事なものです。


ゴールデンクロー2.jpg


「おもちゃじゃないか!」と叱咤されそうですが、「おもちゃだろうが、私の人生に大きな影響を与えたものだ、文句あるのか!」と一喝させるだけの大事なものなんです。


とても貴重なものです。2009年1月10日に販売が終了しており、現在では購入できません。サイコガンの方は、まだまだ中古市場を見渡せばいくつか発見できますが、「ゴールデンクロー」はYahooオークションを見渡しても正直見つけられません。


そもそもこの商品を購入する方は、「クリスタルボーイ」か「ゴールデンクロー」に特別な思い入れがある方ばかりだろうので、簡単に手放すことは考えられません。所有者が亡くなったときか、家宝として引き継がせる際に次の代の方がこの商品の価値が分からずに手放すか、「なんでも鑑定団」に出してしまうかでないと市場では発見できないと思います。






一応、このゴールデンクローの情報を載せておきますね。
サイズ:高さ 約560mm 幅 約355mm 腕底部の直径 約110φ
材質:PVC 重量:約900gで大人の自分でも腕にはめられます。
製作はエムトピアで価格は16,800円でした(昔はもっと高かった気が…)。
なかなかの大きさです。オブジェとしても存在感は高いです。できれば、これを何気なくテーブルに立てて、酒を飲むなんてのもお洒落ですね。


ゴールデンクロー.jpg


「クリスタルボーイ」をご存知ない方のために、簡単に説明いたします。寺沢武一氏の漫画『コブラ』に出てくる主人公コブラの最大のライバルになります。『コブラ』が週刊少年ジャンプで連載されたのが1978年からですので、私は35年以上ものつき合いになります。


「クリスタルボーイ」は主人公のライバルということもあり、作品の序盤から登場しますが、初登場の時の衝撃は私の中では計り知れないものでした。「裸同然のスケスケ水着」なんていう卑猥な言葉がありますが、この「スケスケ」が常軌を逸していました。だって、「全身金色の特殊偏光ガラスでできた、身体の中身丸見えの、あまり機械が詰まっていない、スカスカ・スケスケのサイボーグ」なんです。「こんな斬新な敵を作れる、こんな発想ができる漫画家がいるんだ!?」という驚きの方が強かったです。


この衝撃を受けた小学生時代からずっとこの「クリスタルボーイ」のファンなんです。漫画・アニメに限らず、実写・映画・小説等、フィクション作品の登場キャラクターの中では一番好きな存在です。2位は同作品の主人公「コブラ」。


話を戻します。「クリスタルボーイ」の最大の特徴はそのスケスケの身体。特殊偏光ガラスの身体は本人のセリフによると、「特殊偏光ガラス製の体は超合金以上の強度」で「鉛の玉を跳ね返すほどの強さと女の肌のような柔らかさを併せ持つ」とのこと。特殊偏光ガラスの身体は主人公「コブラ」のサイコガンを含むあらゆる光線兵器(レイガン)を屈折させ素通りさせてしまいます。ところがどっこい、「コブラ」のサブ武器である「パイソン77マグナム」の鉛玉を喰らってぶっ倒れてしまうんですね。自分で「鉛の玉を跳ね返す」と言っておきながら、倒れて起き上がった直後に「そんな博物館入りの代物を持ち歩いていようとはな」とカッコ良く返す辺りがたまりません。


私は、小説や漫画のアニメ化、実写化は「許せない」のが基本です。というのも頭の中で想像しながら読んでいたキャラクターの声色とアニメ化された際の声優の声がかけ離れていると作品がぶっ壊れてしまうからです。小説であれば、想像していた主人公の外見が、アニメ化や実写化によって「なんだ、こいつは!?」というような顔が出てきたり、全然イメージと違うキャストが主人公を演じることで興醒めしてしまうケースが多いですからね。


寺沢武一氏の『コブラ』も1982年10月7日〜1983年5月19日でアニメ化され、『スペースコブラ』としてフジテレビ系列で放送されていた。当然毎週欠かさずに見ていたし、VHS・DVDも買いそろえた。そう、主人公「コブラ」も「クリスタルボーイ」も私のイメージにピッタリの「この人しかいない!」という声優さんが担当してくれたのだ。



「コブラ」は故野沢那智さん(現在は内田直哉さん)、「クリスタルボーイ」は「次元大介」役で有名な小林清志さん(現在は東地宏樹さん)。『ルパン三世』の中でも次元大介は一番好きなキャラクターだったし、声色が私が想像する「クリスタルボーイ」とジャストマッチだったんです。主人公の「コブラ」以上に「クリスタルボーイ」を好きになった原因がこれだったんですね。


更に、寺沢武一氏の作るセリフがまたカッコ良いんです。
主人公「コブラ」と宿敵「クリスタルボーイ」の初対戦時の会話は、もう最高でした。彼らのセリフ1つ1つが自分の人生に大きな影響を与えてくれたのです。

例:T
サイコガンをぶっ放したがクリスタルボーイには無力で、うろたえるコブラにクリスタルボーイ(以後ボーイ)がショルダータックルをお見舞いします。
コブラ:「すげぇショルダーアタックだ。あんた殺し屋なんか辞めてスーパー
    ボールにでも出たら?」


例:U
「パイソン77マグナム」の鉛玉を喰らってぶっ倒れてしまったボーイが起き上がった直後に
ボーイ:「パイソン77マグナムとは恐れ入ったな。まさかそんな博物館入りの
    代物を持ち歩いていようとはな」
その後、分身してコブラにビームを集中砲火。
宇宙船の機体に隠れて反撃の機会をうかがうコブラは
コブラ:「けっ、安っぽい手品なんか使いやがって。そんなんじゃお昼の
    ワイドショーにも出られやしないぜ」


例:V
例Uのあと、ゲルファイターという小型の戦闘機に乗ったボーイは生身のコブラに体当たり。コブラは完全に吹っ飛んでグロッキー状態。そのコブラに対し、
ボーイ:「貴様がネルソン・ロイヤルの宝を手に入れても役に立てられんのだ。俺こそネルソン・ロイヤルの宝を手にするに値する全宇宙たった一人の男!」
グロッキー状態から起き上がろうとするコブラが
コブラ:「よぉ、大統領!ついでに『ハムレット』でもやってくれよ」
ボーイ:「貴様、まだ生きていたのか?」
コブラ:「あ〜ぁ。あんたに負けないぐらいタフネスなんでねぇ」
ボーイ:「恐れ入ったぜ。確かにお前は常人離れした人間だよ。並みの
    体力じゃ ない。不死身と呼ばれているのもまんざら嘘じゃ
    なさそうだな」
コブラ:「てぇ、よせよ。褒められると頬っぺたが赤くなるぜ。根が
    純情なんでね」


もうね、いちいちカッコ良いんです。例Tでは「スーパーボール」という単語をさりげなくぶっこんできます。現在は日大のタックル事件で話題ですが、1978年の段階でアメフトに興味のある読者が何人います?当時小学生だった私はこの会話で初めてアメフトという競技やスーパーボールという存在を知り、アメリカナイズされた少年になっていきました。会話の内容が日本を舞台にせず、常にワールドワイドな視点で進んでいく。寺沢武一氏の主義・主張もカッコ良いんです。


例Uにおいては、ボーイの「博物館入りの代物」という言葉。私のお気に入りです。例えばテニスコートで、私の物より古いラケットでプレーする友人にポイントを決められた時などは、「まさかそんな博物館入りの代物を持ち歩いていようとはな」って必ず言いますね。
生き死にの戦いの最中に「お昼のワイドショー」っていう単語を出す心の余裕さ。「大事な時ほど真剣になりすぎず、心に余裕が必要なんだよ」っていうメッセージが含まれていますよね。


例Vにおいては、「よぉ、大統領!」ですね。「よぉ、総理大臣!」ではないんですね。例1と同じで視線がアメリカを向いているんです。そこからの「『ハムレット』でもやってくれよ」。私はこの会話から『ハムレット』を知り、シェークスピアを読むようになりました。いちいち日本にこだわらないこの感覚が当時最高にオシャレに感じたことを記憶しています。





上記のような会話を、小林清志さんがやるんですよ。カッコ良いに決まっています。ますますクリスタルボーイにはまっていきました。


でも、そんなクリスタルボーイも所詮はライバルの適役ですから、主人公コブラには負けてしまいます。TVアニメ版では1度だけですが、漫画では4度登場し、3度負けているかな。


2度目に負けたのが、「六人の勇士」編。ここでの二人のやり取りもカッコ良いんです。

例:W
六人目の勇士「レディ」を救い出すため、火炎林の神殿へ向かったコブラたち五人の勇士を待ち受けていたのが、暗黒神アーリマンの化身クリスタルボーイでした。顔を合わせた両雄の言葉です。
コプラ:「最期だな、ボーイ。お祈りの時間ぐらいは待ってやるぜ。」
ボーイ:「ほぉー、気がきくな、コブラよ。」
コブラ:「だれだって死刑囚には優しいもんさ」


例:X
場所をクリスタルボーイのバトルシップ(重戦艦)に移しての一コマ。クリスタルボーイのいる部屋の前で(お互い相手が見えていない)、コブラがサイコガンをぶっ放すと、中からボーイのゴールデンクローも飛んできた。お互い紙一重で当たらなかったが、その後対面した2人の会話。
コブラ:「ノックをするべきだったかな?」
ボーイ:「いいさ、オレと貴様の仲だ」
    「とうとうここまできたな、コブラよ。貴様は生涯の宿敵だ。」
コブラ:「まあな。ニューヨーク・ヤンキースとロサンゼルス・ドジャースみた
    いなもんさ。オレたちのどちらかが倒れるまで…、オフシーズンは来な
    いのさ。」


どうですか、このカッコ良さ。ここまでカッコ良いセリフはなかなか無いですよ。強いて挙げるとすれば、「魁!!男塾」の伊達臣人が言った「安心しろ。お前が弱いんじゃねぇ、オレが強すぎるんだ!」ぐらいしか見当たりません。
例Xは例Tのように例えがアメリカの大リーグなんですね。決して巨人と阪神でも槇原とバースでもないんです!でも二人のやり取りからは、ただの敵同士というよりも「生涯の宿敵」「永遠のライバル」的な特別な間柄・雰囲気が重々伝わってくるんですね。自然とこんなやり取りができる相手がいるってのが、とてもうらやましいし、憧れますね。


因みに「六人の勇士」編では、コブラと揉み合いになった末、ボーイは自分のゴールデンクローで身体を突き破られて倒されています。


そして最後に負けたのが、1995年の「ザ・サイコガン」編です。
そこでもライバル関係の2人は一騎打ちとなりました。ボーイはコブラと激戦を繰り広げ、コブラをあと一歩というところまで追い詰めるが、加勢したユートピアによって背後から蹴っ飛ばされ、高圧電流の中へと突き落とされます。


ローストビーフ状態になりながらもボーイは這い上がってコブラ達に襲い掛かります。しかし高圧電流に襲われた特殊偏光ガラスの身体は脆くなって、所々ひび割れが発生しました。それを見たコブラは隣にいたユートピアのヒールに仕込まれていたサウンド・ウェーブ・ボンバーという振動波砲?のような武器でボーイを狙い撃つと、ボーイの身体に亀裂が入ったのです。


コブラはボーイ身体の亀裂目掛けてサイコガンを連射すると、発射されたサイコエネルギーが亀裂やひび割れだらけのボーイの身体を素通りせずに、身体内に留まり続け、最後はボーイの身体が粉々に砕け散ったのでした。残されたのは特殊偏光ガラスの数々の破片と、原形を留めていた右腕のゴールデンクローだけだったのです。


このシーンを見て、非常に寂しくなったのを覚えています。というのも、直感的に、「もうクリスタルボーイが復活して、コブラのライバルとして現れることは無いな」と思ってしまったからです。作者の寺沢武一氏も高齢で過去作品の焼き直し的な仕事が多くなってきたし、実際199ゆ年には脳腫瘍にもなってましたからね。いつまでも元気でCOBRAを描き続けて欲しいというのが本心ですが、その一方で上記のような考えにもなってしまったんです。


だからこそ、クリスタルボーイの最期のシーンに登場したゴールデンクローには特別な思い入れがあって、いい歳こいたおっさんですが高い金を出して2つも購入してしまったんですね。1つは予備として購入したのですが、予備があることで雑に扱ってしまうだろうことも予想できたので、1つは手放しました。残った1つを現在家宝としているわけです。


この気持ちが、子や孫の世代に伝わるといいんですけどね。難しいだろうなぁ。
posted by はぶさん at 14:12| Comment(0) | コレクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする